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口臭の本当の原因と歯科医が教える改善方法~自信を取り戻す対策
口臭に悩む人が知るべき真実~原因は思っているところにない?
口臭の悩みは想像以上に多くの方が抱えています。実は日本人の80.6%が自分の口臭を気にしているというデータがあります。
特に興味深いのは、妻が夫の口臭を気にする割合(83.6%)が、夫が妻の口臭を気にする割合(59.3%)を大きく上回っているという点です。私たちが思っている以上に、周囲の人は私たちの口臭に敏感なのかもしれません。
口臭の原因は一体どこにあるのでしょうか。多くの方が「食べ物」や「胃腸の調子」を疑いますが、実は口臭の原因の約90%はお口の中にあるというのが歯科医療の世界では常識となっています。
厚生労働省の「e-ヘルスネット」でも、口臭の原因の大部分が口腔内にあることが明記されています。つまり、口臭に悩んでいるなら、まずは口の中から改善していくことが最も効果的なのです。
では、口臭の正体とその対策について、歯科医師の立場から詳しくお話ししていきましょう。
口臭の種類と本当の原因~あなたはどのタイプ?
口臭には大きく分けて4つの種類があります。それぞれの原因を理解することで、効果的な対策が見えてきます。
1. 生理的口臭~誰にでも起こりうる自然な口臭
朝起きた時や空腹時、緊張している時に感じる口臭です。これは唾液の分泌量が減少することで口の中が乾燥し、細菌が増殖することが主な原因です。
唾液には自浄作用や抗菌作用があり、口を動かすことで分泌が促されます。そのため、長時間話さなかったり、水分摂取が少なかったりすると口臭が強くなりやすいのです。
あなたも経験があるのではないでしょうか?
生理的口臭は誰にでも起こるもので、特別な治療は必要ありません。水分をこまめに摂ったり、食事をしたりすることで改善できます。
2. 病的口臭~お口の病気が原因
口臭の原因の多くを占めるのが、歯周病や虫歯などのお口の病気です。特に歯周病は、歯と歯茎の間の歯周ポケットに細菌が繁殖して炎症を起こし、強い口臭の原因となります。
私の臨床経験でも、口臭を主訴に来院された患者さんの多くは、ご自身では気づいていなかった歯周病を抱えていました。歯周病は「サイレントディジーズ」と呼ばれるほど自覚症状が少ないため、定期的な歯科検診が重要です。
また、虫歯や不適合な詰め物・被せ物の隙間に食べ物が溜まり、細菌が繁殖することも口臭の原因になります。
3. 外因的口臭~食べ物やタバコが原因
ニンニクやニラなどの香りの強い食べ物を食べた後に感じる口臭です。これらの食品に含まれる成分は消化吸収された後、血液中に入り、肺を通して呼気に乗って口から出てくるため、歯磨きだけでは完全に消えません。
また、タバコに含まれるタールは粘着性が高く、歯や歯茎、舌に付着して独特の「ヤニ臭」を発生させます。喫煙者の方は、非喫煙者に比べて口臭が強くなる傾向があります。
私がよく患者さんから聞くのは、「歯磨きをしても口臭が消えない」というお悩みです。これは外因的口臭の特徴で、時間の経過とともに自然に改善していきます。
4. 心理的口臭~思い込みによる口臭
実際には口臭がないか、あっても生理的範囲内なのに、自分の口臭が強いと思い込んでしまうケースです。これは「自臭症」と呼ばれる精神疾患の一種で、ストレスや不安が原因となることがあります。
心理的口臭の場合は、歯科医院での口臭測定で客観的な評価を受けることが大切です。必要に応じて心療内科や精神科の受診も検討しましょう。
口臭を科学的に理解する~揮発性硫黄化合物の正体
口臭の主な成分は「揮発性硫黄化合物(VSC)」と呼ばれるガスです。その主成分は硫化水素、メチルメルカプタン、ジメチルサルファイドの3種類です。
これらのガスは、食べ物の残りや剥がれ落ちた細胞、唾液タンパク質などを細菌が分解する過程で発生します。特に舌の奥や歯と歯の間、歯周ポケットなどに溜まった細菌が、これらのガスを発生させる主な原因です。
私の診療では、口臭測定器を使って患者さんの口臭レベルを数値化することがあります。これにより、口臭の原因を特定し、より効果的な治療計画を立てることができます。
しかし、「臭い」と感じるかどうかは最終的には人の嗅覚によるものです。歯科医師や歯科衛生士は経験上、口臭から歯周病や虫歯の匂いを嗅ぎ分けることもできます。
口臭の強さは、唾液の量や質、口腔内の細菌の種類や量、舌苔(舌の表面に付着する白い苔状のもの)の状態などによって変化します。
あなたは自分の口臭を正確に把握できていますか?
歯科医師が教える!効果的な口臭対策の方法
口臭対策には、即効性のある対策と根本的な原因を治す対策があります。どちらも大切ですので、バランスよく取り入れていきましょう。
1. 正しい歯磨きと舌のケア
口臭対策の基本は、やはり正しい歯磨きです。特に歯と歯の間や歯と歯茎の境目は、歯ブラシだけでは十分に清掃できません。
私が患者さんによく勧めるのは、デンタルフロスや歯間ブラシを使った丁寧な清掃です。これにより、歯ブラシだけでは届かない部分の細菌や食べかすを効果的に除去できます。
また、舌の表面に付着する「舌苔」も口臭の大きな原因です。舌ブラシや舌クリーナーを使って、舌の奥から手前に向かって優しく舌苔を取り除きましょう。
舌苔の除去は、力を入れすぎると舌を傷つける恐れがあります。優しく丁寧に行うことが大切です。
2. 唾液の分泌を促す
唾液には自浄作用や抗菌作用があり、口臭予防に重要な役割を果たします。唾液の分泌を促すためには、こまめな水分補給やよく噛んで食事をすることが効果的です。
シュガーレスのガムやキシリトール配合のタブレットも、唾液の分泌を促す効果があります。特にキシリトールには、細菌の活動を抑える働きもあるため、口臭予防に役立ちます。
日常生活で意識してほしいのは、口呼吸を避け、鼻呼吸を心がけることです。口呼吸は口の中を乾燥させ、細菌の繁殖を促進します。
3. 定期的な歯科検診とプロフェッショナルケア
自宅でのケアだけでは落としきれない歯垢や歯石は、歯科医院での専門的なクリーニング(PMTC)で除去することが重要です。
私の臨床経験では、定期的なPMTCを受けている患者さんは、口臭が少なく、歯周病や虫歯のリスクも低い傾向にあります。
歯科医院では、口臭の原因となる歯周病や虫歯の早期発見・早期治療も可能です。半年に一度は歯科検診を受けることをお勧めします。
4. 生活習慣の見直し
喫煙や過度の飲酒は口臭を悪化させる要因となります。特に喫煙は歯周病のリスクも高めるため、口腔健康のためにも禁煙を検討しましょう。
また、バランスの良い食事と十分な睡眠、適度な運動など、全身の健康を維持することも口臭予防につながります。
ストレスも唾液の分泌を減少させる原因となるため、ストレス管理も重要です。
あなたの生活習慣を見直してみませんか?
口臭対策におすすめのケアグッズ
効果的な口臭対策には、適切なケアグッズの選択も重要です。ここでは、歯科医師の立場からおすすめのケアグッズをご紹介します。
1. 歯ブラシと歯磨き粉
歯ブラシは、毛先が広がっていないものを選び、3ヶ月を目安に交換しましょう。硬さは「ふつう」か「やわらかめ」がおすすめです。
歯磨き粉は、フッ素配合のものが基本ですが、口臭が気になる方には、殺菌成分(CPC、IPMP、トリクロサンなど)や消臭成分(亜鉛、クロロフィルなど)が配合されたものがおすすめです。
ただし、歯磨き粉の効果は一時的なものが多いため、根本的な口臭対策としては、正しいブラッシングや定期的な歯科検診の方が重要です。
2. デンタルフロスと歯間ブラシ
歯ブラシだけでは歯の表面の約60%しか清掃できません。歯と歯の間の清掃には、デンタルフロスや歯間ブラシが効果的です。
特に歯周病が進行している方は、歯間ブラシを使用することで、歯周ポケット内の細菌を効果的に除去できます。
3. 舌クリーナーと舌磨きジェル
舌苔の除去には、専用の舌クリーナーが効果的です。プラスチック製やシリコン製のものが多く、使いやすさで選びましょう。
舌磨きジェルと併用することで、より効果的に舌苔を除去できます。舌磨きジェルには、殺菌成分や消臭成分が配合されているものが多いです。
4. マウスウォッシュ
マウスウォッシュは、口臭予防に一定の効果がありますが、使用方法や成分によって効果に差があります。
アルコール配合のマウスウォッシュは殺菌効果が高いですが、口腔内を乾燥させる可能性があります。乾燥が気になる方は、ノンアルコールタイプを選びましょう。
マウスウォッシュは、歯磨きの補助として使用するのが効果的です。歯磨き後に使用することで、ブラッシングでは取りきれなかった細菌を減らす効果が期待できます。
ただし、マウスウォッシュだけで口臭対策をするのは不十分です。あくまで補助的な役割と考えましょう。
口臭に悩んだら歯科医院へ~専門的な検査と治療
自己ケアで改善しない口臭がある場合は、歯科医院での専門的な検査と治療をお勧めします。
歯科医院では、口臭測定器を使って口臭の程度を客観的に評価したり、口腔内の状態を詳しく検査したりすることができます。
口臭の原因が歯周病や虫歯である場合は、それらの治療を行うことで口臭も改善します。また、不適合な詰め物や被せ物の交換、専門的なクリーニングなども効果的です。
口臭外来を設けている歯科医院もありますので、口臭に特化した治療を受けることもできます。
口臭に悩んでいる方は、一人で悩まず、ぜひ歯科医院に相談してください。
まとめ~口臭改善で自信を取り戻す
口臭は多くの方が悩む問題ですが、適切なケアと治療で改善できます。口臭の原因の約90%はお口の中にあるため、日々の口腔ケアが何よりも重要です。
正しい歯磨きと舌のケア、唾液の分泌を促す習慣、定期的な歯科検診、そして生活習慣の見直しが、口臭対策の基本となります。
口臭が気になる方は、まずは歯科医院での検査と相談をお勧めします。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な対策を立てることができます。
口臭の悩みから解放されれば、人との会話も楽しくなり、自信を持って社会生活を送ることができるようになります。
当院では、口臭でお悩みの方に対して、原因の特定から治療、予防まで一貫したサポートを提供しています。お気軽にご相談ください。
詳しくはべっぷゆうこ歯科・矯正クリニックのホームページをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。あなたの笑顔と自信を取り戻すお手伝いをいたします。
【著者】別府 優子 べっぷゆうこ歯科・矯正クリニック 院長
九州大学歯学部卒業後、複数の歯科医院にて一般歯科および矯正治療の臨床経験を積む。
「すべての患者様が安心して通える歯科医院」を理念に掲げ、患者様一人ひとりの口腔状態に合わせた治療計画を重視している。
歯周病・インプラント・矯正治療・マイクロスコープ治療など、幅広い分野の研鑽を続けながら、患者様の「自分の歯を長く守る」ためのサポートに力を注いでいる。
主な所属・修了コース
WDC(女性歯科医師の会)所属
船越歯科歯周病研究所 ベーシックコース/マスターコース修了
Just Post Graduate 10ヶ月コース修了
下川公一臨床セミナー アドバンスコース受講
近未来オステオインプラント学会
日本臨床歯周病学会
日本顎咬合学会
日本歯科東洋医学会
日本顕微鏡歯科学会
経基臨塾
日本矯正歯科学会