こんにちは。別府優子です。
【歯髄温存:神経を取らずに保存すること】は私のライフワークの一つで、また、当クリニックの診療の中で最も力を入れている分野の一つです。
むし歯の程度は下記の3つに分けられます。
左から「エナメル質までのむし歯」「象牙質に及ぶむし歯」「歯髄に及ぶむし歯」です。
一般的には、むし歯の治療で歯髄が出てくると「抜髄」という歯髄を除去する治療を行います。
「むし歯が深かったから、神経とるね~」と歯医者さんから言われた経験、あると思います。
STOP!!お待ちください!!
歯髄を除去することは、歯の寿命を格段に短くしていることをご存じですか?
当院では、むし歯が歯髄(神経)に及んでいても、神経が生きているのであれば保存する【歯髄温存療法】を行っています。
30歳の女性です。1年ぶりにお見えになりました。痛みなどはありません。
ぱっと見た感じ何もなさそうな歯ですが、レントゲンには・・・
歯髄に及びそうな大きなむし歯が写っています!
治療方法の説明をして、歯髄を保存する【歯髄温存療法】+【ダイレクトボンディング】を希望されました。
治療開始です。
むし歯を取り除いていくと、あっという間に歯髄に到達しました。
歯髄をよく観察し、しっかり生きていることを確認出来たら、生体に優しいセメント(MTA)で歯髄を覆います。
その後は少しずつ樹脂を積層していき・・・
元々の形態を作っていきます。
治療終了です。
歯髄処置と樹脂の充填がきれいにされています。
1週間後にお見えになった時、冷たいお水が時々しみるとのことでしたが、次の週に症状は消失していました。
半年後のレントゲンです。経過も問題ありません。
このように、むし歯が歯髄に及んでいても保存することは可能です。
歯髄を安易に取らないでください!!
そして、このような精密な治療はマイクロスコープなしでは到底難しい治療といえます。
「1本でも多くの歯を救いたい!」
私たちは、そんな強い思いで日々診療しています。